「アパート経営ってやめた方がいいの?」
「アパート経営の平均年収や、失敗しないコツが知りたい」
あなたは今、そのようにお悩みではありませんか?
実は、アパート経営をしたことがある現役大家さんに行ったアンケート調査では、約7割が『満足している』結果になっています。また、それらを裏付けるように、アパート経営の平均年収(手取り)は年々増加傾向にあります。令和3年の申告所得税標本調査データによると平均542万円。前年からは約1%、一昨年の結果からは約1.05%アップしています。
この記事では、アパート経営が儲かる理由やメリットを始め、想定されるリスクと失敗しないための3つのコツを解説します。
アパート経営に興味があっても、まだ踏み出せていない人は、ぜひ参考にしてください。
- アパート経営はレバレッジ効果が高いため、少ない資金で大きな利益を出すことができる
- 万が一損失が出てしまった場合でも、損益通算により赤字を相殺できる
- 老朽化による修繕リスクや火災、地震などの自然災害リスクには注意が必要
アパート経営の成功率は7割以上!儲かる理由を徹底解説
この段落では、アパート経営が儲かりやすい理由について紹介します。
- レバレッジ効果が高い
- 経費として計上できる費用が多い
- 損益通算による節税効果が大きい
レバレッジ効果が高い
レバレッジ効果とは『テコの原理』を意味し、少ない資金でより大きな収益を生み出す効果をいいます。不動産投資の場合、借入を行って、より高い収益物件を購入した方が、全体の利益が大きくなります。
たとえば、1,000万円の中古マンション(一室)を現金で購入し、家賃が年間60万円(月に5万円)だった場合、表面的な利回りは6%です。
5万円×12カ月÷1,000万円×100=6(%) ※年間の収入 5万円×12カ月=60万円
対して、1億円のアパート(一棟)を、借入れを利用し購入した場合は、家賃が年間600万円(月に50万円)となります。表面利回りは、中古マンションを買った時と同じく6%ですが、収入は10倍になっています。
50万円×12カ月÷1億円×100=6(%) ※年間の収入 50万円×12カ月=600万円
このように、借入れを利用してレバレッジ効果を最大化できるのは、不動産投資の大きなメリットの一つでしょう。
表面利回りについては『実質利回りでシミュレーションを行う』で解説しています。
経費として計上できる費用が多い
アパート経営は、他の投資に比べて、経費として計上できる費用が多い特徴があります。ローンの金利・保険料・管理委託料・仲介手数料、入居付けのためにかかった費用(広告料)・修繕費・固定資産税などの税金が挙げられますが、最も節税効果が大きいものとして減価償却費があります。
減価償却費とは、不動産の購入額を耐用年数に合わせて分割し、毎年、費用として計上できる勘定項目です。
損益通算による節税効果が大きい
アパート経営で出た赤字に関しては、他の所得と相殺できます。これを、損益通算といいます。
たとえば、減価償却費や他の経費などを併せて、帳簿上で収支がマイナス200万円となった場合、その200万円を給与所得と相殺し、利益を抑えられます。
減価償却費は、実際に出ていった資金ではありません。これを経費として勘定し、他の所得と相殺できる点は、アパート経営の大きなメリットです。
アパート経営のメリット4選
ここからは、アパート経営のメリットについて紹介します。
- 安定した不労所得を得ることができる
- 所得税や相続税などの節税対策になる
- 生命保険の代わりになる
- インフレに強い
安定した不労所得を得ることができる
アパート経営は、マンション一室や貸家(一戸建て)に投資する場合に比べて、収益が安定しています。
マンションや貸家の場合、入居者は埋まりやすいですが、逆に、貸し出している居室が一戸しかないため、入居者がない期間は収益がゼロになってしまいます。
対して、アパート経営の場合は、複数戸の居室を貸し出すため、一室がそういったトラブルに見舞われた場合でも、他の居室で収益をカバーできます。
所得税や相続税などの節税対策になる
アパート経営が、減価償却費を経費として計上でき、さらには、損益通算の仕組みを利用して所得税を圧縮できる点は先に述べた通りです(前章『アパート経営の成功率は7割以上!儲かる理由を徹底解説』を参照)。
アパート経営は、所得税に加えて、相続税対策にもなります。現金で資産を持っていた場合、その額に応じて相続税がかかります。しかし、それを不動産に変えておくことで、相続税を圧縮できます。
なぜかというと、不動産にかかる相続税を計算する際、用いられるのが相続税路線価というもので、相続税路線価は、実際の不動産価格よりも7割程度の評価となるからです。つまり、実際に購入した金額よりも低い評価となるため、その差額分を節税できます。
生命保険の代わりになる
アパート経営をする際、投資用ローンを利用して購入するケースが多いですが、この投資用ローンの利用条件として、団体信用生命保険(団信)への加入が義務づけられていることが大半です。
債務者に万が一のことがあったとしても、ローンを残すことなく、土地・建物を資産として相続人に引き継げます。
インフレに強い
アパート経営は、インフレ対策に有効な手段となります。その理由は、不動産は物理的な資産であるため、インフレ時でも資産価値が安定しやすいからです。また、インフレに伴って家賃を増額できる可能性もあり、ローンの負担を軽減できます。
しかし、変動金利で借入れを行っていた場合は、経済動向に伴い金利を上げられてしまう可能性はあるため、その点は理解しておきましょう。
アパート経営で想定されるリスク3選と対応策
アパート経営で想定される、代表的なリスクは次の3つです。
対応策と併せて、それぞれ解説します。
立地や経年による空室リスク
アパート経営において、最大のリスクは空室リスクです。空室になる原因としては、そもそもの立地が悪かったり、経年劣化により物件の人気度が下がったりすることが挙げられます。
空室率を上げないためにも、始めの物件選定は非常に重要です。駅を利用する人が多い地域なのに、駅から徒歩10分以上離れていたり、逆に、車を利用する人が多い地域で、十分な駐車スペースをとれないところに物件を建ててしまったりしていては、空室率が高くなる恐れがあります。
また、経年劣化に応じて、居室のリフォームを行う必要があります。日々の利益から、リフォームできるだけの資金は残しておく必要があるでしょう。
建物の老朽化による修繕リスク
居室内をリフォームしても、建物自体の見栄えが悪かった場合、入居者が付きにくくなります。リフォーム費用だけでなく、建物の外観や全体の設備を修繕・交換できる資金は残しておくべきでしょう。
大規模修繕が必要となる時期としては、築後15~20年が一般的な目安です。
地震や火災などの災害リスク
アパート経営において、切っても切り離せないリスクが地震や火災などの災害リスクです。万が一、地震などで建物が倒壊してしまった場合、家賃収入がゼロになり、ローンの支払いだけが残ってしまいます。
火災保険に付帯する形で、地震保険を付けることができるため、立地などを考慮し必要となる場合は、検討するべきでしょう。購入・建築を検討している地域の安全性は、地元の不動産会社や、管轄する役所に問い合わせることでヒントを得られます。
不動産経営で失敗しない3つのコツ
あらかじめ知っておくべき、不動産経営で失敗しないためのコツは次の3つです。
それぞれ解説します。
実質利回りでシミュレーションを行う
不動産経営では、表面利回りではなく実質利回りで収支を計算する必要があります。
表面利回りとは、不動産会社のチラシなどに書かれている利回りで、必要になる費用が計上されていません。あくまでも概算です。たとえば、1億円の物件を購入し、利益が毎年600万円手に入るとした場合、表面利回りは6%です。
一方で、実質利回りは、家賃収入から諸経費(管理費・固定資産税など)を差し引いたものを、購入価格と購入時の諸経費を併せた金額で割って算出する利回りです。
たとえば、1億円の物件を購入するのに、諸経費が10%の1,000万円かかったとします。そして、得られる家賃収入は年に600万円で、かかる諸経費は20%の120万円だとします。すると、実質利回りは以下のように求められます。
計算式
(600万円-120万円)/10,000万円+1,000万円×100=4.36%
表面利回りでは、各諸経費が反映されないため、実質的な数値とは異なった数値が出てきてしまいます。利回りはできる限り、実質利回りで計算するようにしましょう。
入居者との契約内容を決める
入居者との賃貸借契約の内容は、安全かつ賃貸人(オーナー)にとって、損がないような内容にしましょう。基本的な方針は、借地借家法によって定められていますが、特約を設定できる事項もあります。
たとえば、室内の喫煙について・宿泊について・原状回復費の支払いについてなどです。喫煙によって居室内に匂いがこびりついていたり、通常損耗を超える範囲で設備が故障していたりした場合に、入居者に工事費用を請求できるよう、契約書に責任の所在を記載しておきましょう。
とはいえ、契約書をチェックすることは容易ではありません。入居付けを行う不動産会社と相談しながら内容を考えましょう。
修繕やメンテナンスの対応を誰にするか決める
修繕や、入居者からの問い合わせで発生した突発的な故障対応などについて、誰がどのように対応するか決めておきましょう。
管理会社に任せるのが一般的ですが、設備の故障などの場合、すぐに対応しなければならない場合があります。
仕事中は管理会社からの電話に出にくいなどの事情があれば「~円までの対応は管理会社の判断で対応してください。」とあらかじめ、どれくらいのことを管理会社に一任するのか伝えておくのがおすすめです。
不動産経営するにはどうしたらいい?手順を丁寧に解説
ここからは、これから不動産投資を始める方向けに、不動産経営を始める手順を解説します。
- STEP1:不動産会社と購入物件を決める
- STEP2:金融機関から借り入れを行う
- STEP3:物件を契約する
- STEP4:物件の引き渡し
STEP1:不動産会社と購入物件を決める
信頼性の高い不動産会社をパートナーに始めに選びましょう。見るべきポイントは、実績と評判・地域に対しての知識と専門性・提供しているサービスなどです。不動産会社にも様々な会社があり、投資物件を得意としていない会社もあるため注意しましょう。
次に、自分の予算を明確にしましょう。予算に応じて物件選びを進めていきます。
予算が決まれば、おのずと買える地域や建物の種類が決まるため、自分の予算に合った物件を探せます。良いと思う物件が見つかったら、不動産会社と価格交渉し、最適な条件で物件を購入しましょう。
STEP2:金融機関から借り入れを行う
資金調達は不動産経営おいて重要な行程となります。現金で購入できる人はそういないため、不動産経営を始めたい人にとっては最初の関門となります。
物件の良し悪しも判断材料の一つですが、多くは債務者となる人の信用履歴や返済能力から判断されます。
融資結果が出たら、金額・金利・返済計画などの条件に無理がないか再度確認しておきましょう。場合によっては、条件を再交渉した方が良いケースもあります。
STEP3:物件を契約する
不動産の契約は注意深く進めましょう。不動産会社に丸投げするのではなく、自分でも契約書の内容を確認し、気になる点はすべて質問するようにしてください。
契約日当日は、通常、契約に基づき、頭金や手付金を支払います。
STEP4:物件の引き渡し
最後には、融資実行・物件の引き渡しが行われ取引が完了します。検査済証がある場合は必ず受取り、大切に保管しておきましょう。建物の価値に影響します。
引き渡しまでに、物件の管理をどうするのか、家賃や広告料はいくらに設定かなど、決められることはあらかじめ決めておいた方が良いでしょう。物件取得と同時に、入居付けに向けてすぐに動けます。
不動産経営に関する基礎知識
ここからは、不動産経営に関する基礎知識について紹介します。
- 不動産経営に必要な初期費用
- 不動産経営にかかる税金
- 不動産経営の確定申告
不動産経営に必要な初期費用
不動産経営にかかる初期費用は、物件価格に加えて次にような費用がかかります。
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 火災保険料(付帯する場合は地震保険料)
- 融資手数料
これらは、総額でおよそ物件価格の8~10%となります。
不動産経営にかかる税金
不動産経営をしていく中で、かかる税金は次のとおりです。
- 所得税 :アパート経営で得られる家賃収入にかかる税金(国税)
- 住民税 :アパート経営で得られる家賃収入にかかる税金(地方税)
- 事業税 :10室以上の居室を貸し出している場合かかる税金
- 固定資産税 :土地・建物にかかる税金
- 都市計画税 :土地・建物にかかる税金(市街化区域内のみ)
- 相続税 :所有者が亡くなり相続が発生した場合に相続人にかかる税金
- 贈与税 :別の所有者に贈与した場合に新所有者が支払い義務を負う税金
- 消費税 :アパート、設備の購入者やリフォームにかかる税金
不動産経営はあくまでも事業です。税金に関しては複雑になるため、不動産会社だけでなく信用できる税理士をパートナーとして見つけておくのがおすすめです。
不動産経営の確定申告
不動産経営を行う場合、確定申告は必ず行う必要があります。確定申告をきちんと行うことで、納税漏れによるペナルティを防げます。また、青色申告を行うことで、節税効果を最大まで高めることができます。
確定申告の流れ
- 確定申告書類を準備
- 確定申告書類に必要事項を記入
- 確定申告書類を税務署に提出
確定申告書類は、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、税務署や会計事務所で、説明を受けた上で直接受け取ることもできます。
確定申告書類の提出は、郵送または電子申告のいずれかの方法で行うことができ、郵送の場合は、所轄の税務署に提出します。電子申告の場合は、国税庁のホームページから申告できます。
不動産経営に関するよくある質問
ここからは、不動産経営に関するよくある質問について紹介します。
- 不動産経営に資格はいるの?
- 不動産経営を法人化するとどんなメリットがある?
- インボイス制度が不動産経営に与える影響は?
不動産経営に資格はいるの?
不動産経営を行う上で資格は必要ありません。しかし、あらゆるリスクに対応していくには、経験に加えて、多くの知識を学び続ける姿勢は必要でしょう。
また、銀行から融資を受ける際、資格を持っている人と持っていない人であれば、信用度合いが変わります。資格を持っていれば「専門的な知識を持った上で主張している」と判断してくれます。
おすすめの資格として、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士などがあります。
不動産経営を法人化するとどんなメリットがある?
法人化は、年間の課税所得が900万円以上となった場合に、検討するメリットがあります。
所得税として計上するよりも、法人税として申告した方が税率が低くなるからです。具体的には、課税所得が900万円超〜1,800万円以下の場合、所得税では33%、法人税では23.2%の税率となります。
インボイス制度が不動産経営に与える影響は?
居住用の不動産のみ貸し出す場合は、特段の影響はありません。しかし、飲食店などのテナントを貸し出す場合は注意が必要です。
オーナー側が免税事業者(インボイス未登録)の場合、店子であるテナントはオーナー側へ支払っている消費税(家賃と併せて支払っている)を経費として計上できません。
その場合、テナント側から消費税分の家賃減額を交渉される可能性は高いでしょう。拒否した場合、周辺のテナントより競争力が劣ってしまう可能性があります。
不動産経営まとめ
この記事では、不動産(アパート)経営について、特徴やメリット・デメリットを解説しました。まとめると、次のようになります。
不動産(アパート)経営のメリット
- レバレッジ効果が高い
- 節税効果が大きい
- 安定した所得を得られる
- 生命保険の代わりになる
- インフレに強い
不動産(アパート)経営のデメリット
- 立地や経年による空室リスクがある
- 建物の老朽化による修繕リスクがある
- 地震や火災などの災害リスクがある
それぞれのメリットを最大化し、デメリットを最小限に抑えるには、信頼できる不動産パートナーの存在は必須です。この記事で解説した、実質利回りを正しく算出するにも、専門家の意見は欠かせません。
【参考記事】
イエウール『【アパート経営の成功率は76.3%】アパート大家さん101人に聞いた成功の秘訣を紹介!』
令和3年分申告所得税標本調査