ソーシャルレンディングは確定申告が必要?申告方法を解説

ソーシャルレンディングは確定申告が必要?申告方法を解説

「ソーシャルレンディングで確定申告をする必要がある人の特徴は?」
「ソーシャルレンディングで確定申告をするにはどうすればいいの?」

上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ソーシャルレンディングの分配金は総合課税の対象となるため、確定申告が必要な場合があります。

そこで、今回はソーシャルレンディングの確定申告が必要なケースや理由、申告方法について詳しく解説します。

自身でソーシャルレンディングの確定申告をするべきか判断できない方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の3行まとめ
  • ソーシャルレンディングの分配金は雑所得に分類されるため、確定申告が必要な場合がある
  • 該当者がソーシャルレンディングの確定申告をしなければペナルティが課される
  • ソーシャルレンディングの確定申告を行う方法は4つある
目次

【結論】ソーシャルレンディングの分配金は総合課税されるため、確定申告が必要な場合がある

ソーシャルレンディングの分配金は総合課税の対象である「雑所得」に分類されるため、確定申告が必要なケースに当てはまる方は、確定申告をしなければいけません。

前提知識として、ソーシャルレンディングで得た配当金や分配金は、源泉徴収されているということは覚えておく必要があります。

源泉徴収とは、ソーシャルレンディング会社が配当金から想定される所得税分を差し引き、差し引いた分配金を投資家に渡す仕組みのことです。

ソーシャルレンディング会社が代わりに税金を納めてくれている一方で、所得税を払い過ぎている可能性もあります。

所得税を払い過ぎている場合、確定申告をすることでお金が返ってくるケースもあります。

この項目では、確定申告が必要な人と不要な人の違いや、確定申告によってお金が返ってくるケースをご紹介します。

ソーシャルレンディングの確定申告が必要な人

下記条件のうち、1つでも当てはまる方はソーシャルレンディングの確定申告が必要です。

ソーシャルレンディングの確定申告が必要な人
  • 給与所得が2,000万円を超える人
  • 給与所得以外の所得の合計が20万円を超える人
  • 2ヶ所から給与を受けていて源泉徴収されなかった給与収入とその他の所得の合計が20万円を超える人
  • 公的年金等がある人で公的年金等の雑所得から所得控除を差し引いた時に残高がある人(公的年金等収入が400万円以下で源泉徴収対象の場合を除く

上記の条件を見て、自身が当てはまるかわからない方も多いと思うので、職業別に確定申告が必要な例もご紹介します。

会社員の場合

ソーシャルレンディングの分配金は源泉徴収されているため、基本的に会社員の方は確定申告が必要ありません。

会社員の方でソーシャルレンディングの確定申告が必要なケースは、給与所得が2,000万円以上ある方や、雑所得が年間20万円以上ある方です。

また、会社員を含めて2ヶ所以上から給与を受け取っている方や、給与所得や雑所得以外の所得が20万円以上ある方も、確定申告が必要です。

例えば、会社員の他に副業で20万円以上の収入がある方は、確定申告をしなければいけません。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、ソーシャルレンディング投資を含めた年間所得が48万円を超えると、確定申告を行う必要があります。

専業主婦の場合

専業主婦の方でパート勤務の方は、基本的に会社員と同様、確定申告は必要ありません。

ただし、ソーシャルレンディングでの収益が48万円を超えている専業主婦の方は確定申告が必要になります。

ソーシャルレンディングの確定申告が不要な人

下記条件のうち、1つでも当てはまる方はソーシャルレンディングの確定申告が不要です。

ソーシャルレンディングの確定申告が不要な人
  • 給与所得者で年収が2,000万円以下、1年間の分配金が20万円以下の人
  • 個人事業主で事業所得と分配金の合計が48万円以下の人
  • 主婦で分配金が48万円以下の人
  • 公的年金の収入が400万円以下でそれ以外の給与およびソーシャルレンディングとその他の所得の合計が20万円以下の人

ただし、配当金や分配金から徴収されているのは所得税のみなので、確定申告が不要な方も別途住民税を申告する必要があります。

確定申告を行っている方は、データが市区町村へ送信され自動で住民税が計算されているため、別途申告する必要がありません。

また、確定申告をするとお金が返ってくるケースもあるので、下記で詳しく解説していきます。

確定申告によってお金が返ってくるケース

ソーシャルレンディングは、配当金や分配金から20.42%の所得税が控除された金額が投資家に配布されています。

所得税は累進課税方式が採用されているため、所得額に応じて税率が上がっていきます。

例えば、課税所得が195万円未満の方は所得税率5%、住民税10%の合計15%納めれば良いです。

しかし、配当金や分配金で既に20.42%税金を納めているため、確定申告をすればソーシャルレンディングで得た収益の約5%が戻ってきます。

ソーシャルレンディングには確定申告が必要な理由

この項目では、ソーシャルレンディングの確定申告が必要な理由をご紹介します。

ソーシャルレンディングの確定申告が必要な理由
  • ソーシャルレンディングの分配金は雑所得になる
  • ソーシャルレンディングの分配金は総合課税の対象

ソーシャルレンディングで確定申告を行う理由を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得になる

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得として計上されます。

分配金から、ソーシャルレンディングを運用するために使用した、通信費用やセミナー代金といった経費を除いた金額を雑所得として計上しなければいけません。

また、ソーシャルレンディングを利用する際に得たキャンペーンやボーナスの金銭は、一時所得として扱います。

一時所得は、50万円未満であれば全額免除、50万円以上の場合は50万円を差し引いた金額に税金がかかります。

ソーシャルレンディングの分配金は総合課税の対象

ソーシャルレンディングの分配金は、給与所得等と合算した金額に対して課税される「総合課税」の対象です。

株式投資やFXといった他の投資方法の場合、分離課税方式が採用されており、所得に関わらず一律15%の所得税がかかる仕組みです。

一方、ソーシャルレンディングの場合は、総合課税方式が採用されており所得によって所得税が大きく異なります。

給与所得が多いほど納税額が多くなる一方で、所得が少ない方は納税額が少なくなるばかりか、確定申告後にお金が返金される可能性があります。

お金が返金される可能性を考慮すると、ソーシャルレンディングに投資している方は、基本的に確定申告を行った方が良いと言えるでしょう。

ソーシャルレンディングの確定申告に必要な書類と申告方法

この項目では、確定申告に必要な書類と申告方法を4つご紹介します。

確定申告が必要な方や、お金の返金を考慮して確定申告を行おうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は、下記の通りです。

確定申告に必要な書類
  • マイナンバーカード(またはマイナンバー通知書)
  • 源泉徴収票
  • ソーシャルレンディングの分配金がわかる書類(年間取引報告書など)
  • 必要経費の領収書
  • 預貯金口座番号(還付を受ける可能性がある人)

確定申告に必要な書類を用意した方は、次の項目でご紹介する確定申告の方法の中から、ご自身が行いやすいものを選びましょう。

確定申告の方法4選

ソーシャルレンディングの確定申告を行うための方法は、下記の通りです。

ソーシャルレンディングの確定申告を行う方法
  • 税務署で申告する
  • 必要書類を郵送して申告する
  • 国税庁の確定申告書類作成コーナーを利用する
  • e-TAX(イータックス)を利用する

それぞれの手順について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

税務署で申告する

税務署で申告する手順は、下記の通りです。

税務署で申告する手順
  1. 必要書類を準備する
  2. 自宅から近い税務署に直接足を運ぶ
  3. 確定申告の書類を受け取る
  4. 職員の指示に従いながら必要情報を記入する
  5. その場で書類を提出する
  6. 証拠書類や記録を保管する

税務署に直接足を運ぶ方法は、確定申告を行なった経験がない初心者の方におすすめです。

わからない箇所が出た際に、すぐに職員の方に質問できるので、情報の記入漏れ等のミスをする心配がありません。

確定申告の書類は、どの税務署で受け取っても書式に変化がないため、自宅から1番近い税務署に足を運ぶことをおすすめします。

必要書類を郵送して申告する

必要書類を郵送して申告する手順は、下記の通りです。

必要書類を郵送して申告する手順
  1. 必要な情報を収集する
  2. ソーシャルレンディングから得た所得を計算する
  3. 国税庁公式ホームページからソーシャルレンディングの収益に関する適切な申告フォームを入手する
  4. 収益や経費、必要情報を間違いなく記載する
  5. 記入完了後、情報に間違えがないか確認して税務署に郵送する
  6. 証拠書類や記録を保管する

必要書類を郵送して申告する方法は、昔から確定申告を行なっている方におすすめの方法です。

ほとんどインターネットを活用せずに確定申告を行えるため、パソコンの操作に不慣れな方でも申告できるでしょう。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用して確定申告を行う手順は、下記の通りです。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する手順
  1. 国税庁確定申告書等作成コーナーを開く
  2. 「作成開始」をタップする
  3. 作成する申告書等と提出方法を選択する
  4. 画面の案内に従って情報を入力する
  5. 選択した書類の提出方法で税務署に提出

ソーシャルレンディングの確定申告が初めての方は、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する方法がおすすめです。

画面の案内に従って情報を入力するだけで完了するため、確定申告の知識を持ち合わせていない方でもスムーズに申告できるでしょう。

e-TAX(イータックス)を利用する

e-TAX(イータックス)を利用してソーシャルレンディングの確定申告を行う手順は、下記の通りです。

e-TAX(イータックス)を利用する手順
  1. e-TAX(イータックス)ソフトのダウンロードコーナーを開く
  2. e-TAXソフトをインストールして起動する
  3. 利用者ファイルを作成する
  4. 納税用確認番号や電子証明書を登録する
  5. 帳票の作成または作成済みファイルのアップロード
  6. 電子署名や電子証明書を添付する
  7. 申告者データを送信する
  8. 受付結果を確認する

利用者情報を入力する必要はありますが、PC操作に慣れている方はe-TAX(イータックス)の利用がおすすめです。

最近では、マイナンバーカードやスマホを利用した手続きの利便性が向上しているため、スムーズに申告できるでしょう。

ソーシャルレンディングの確定申告で注意すべきこと

この項目では、ソーシャルレンディングの確定申告を行う上で注意するべきことをご紹介します。

ソーシャルレンディングの確定申告で注意すべきことは、下記のとおりです。

ソーシャルレンディングの確定申告で注意すべきこと
  • 分配金に対する課税は経費計上で節税できる
  • 該当者が確定申告をしない場合、ペナルティがある

それぞれ詳しく解説するので、ソーシャルレンディングの確定申告を行う前に必ず確認しておきましょう。

分配金に対する課税は経費計上で節税できる

ソーシャルレンディングの確定申告で注意すべき点として、分配金に対する課税は経費計上で節税できることが挙げられます。

分配金に対する課税で経費計上できる費用の例
  • セミナー費用
  • 書籍代
  • 通信費
  • 税務アドバイスを受ける際の税理士費用
  • 電気代
  • 家賃
  • 口座の入出金にかかった手数料

上記の費用は、全てソーシャルレンディングに関するものでなければ計上できない点は、注意しましょう。

また、過度に費用を経費計上してしまうと、税務署から質問が発生する可能性があります。

自身の費用が経費に計上できるか不安な方は、税理士から確定申告に関するアドバイスを受けることをおすすめします。

該当者が確定申告をしない場合、ペナルティがある

確定申告が必要な方が確定申告を行わない場合、下記のようなペナルティを受けてしまいます。

無申告加算税

確定申告の該当者にも関わらず、確定申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課されるペナルティです。

納付すべき税金が50万円以下の場合15%、50万円以上の場合は20%課税されます。

なお、税務署から指摘される前に自主納付すると、5%へ減額する救済処置も用意されています。

延滞税

法定期限までに税金を納めない場合、課されるペナルティです。

法定期限の翌日から2ヶ月以内であれば年7.3%、2ヶ月経過後は年14.6%の課税されます。

ソーシャルレンディングの分配金は、事業者から税務署へ「支払調書」が提出されているため、所得を誤魔化して申請できません。

記載する情報や納税額を間違えてもペナルティを受ける危険性があるため、確定申告を行う前に記入した情報が正しいか確認しましょう。

ソーシャルレンディング確定申告まとめ

今回は、ソーシャルレンディングの確定申告が必要なケースや理由、申告方法について詳しく解説しました。

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得に区分されるため、他の総合課税の所得と合算して納税額の過不足を計算する必要があります。

上記でご紹介したソーシャルレンディングの確定申告が必要なケースを確認し、自身が当てはまっていないか確認しましょう。

また、ソーシャルレンディングの確定申告が必要な方は、期日までに正しい情報を記載した上で確定申告を行わなければいけません。

期日を過ぎてしまったり、間違った情報を記入したりしてしまうと、ペナルティを受けることになるでしょう。

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